一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構
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広報誌『O-BAY』
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2014年度ベイエリア講演会訪日外国人2,000万人時代における広域連携インバウンド戦略
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[日時] 2014年10月10日(金)14:00~15:30
[場所] ハービス大阪5階会議室

 講師:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 政策研究事業本部
 観光政策室長 田中 三文 氏

講演会の様子
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●はじめに

 この講演前に、関西というブランドがどこまで関西国際空港で発信されているのか、関西という認識を外国人がどこまでもっているかということをポイントに、 空港内を視察してきた。1階の国際線の到着ロビーの観光案内所には、「関西」を示したマップがあったが、福井、三重、鳥取まで含まれており、果たしてこれは外国人がイメージする「関西」のエリアと一致するだろうか。特に台湾や香港の方は、とても日本に詳しく、違和感を持つのではないかと思いながら見ていた。また、関西全域の1冊でまとめられたような便利なパンフレットがないかと思って探したが、残念ながらなかった。一番目立つところに置いてあったのは、周遊パスのパンフレットである。関西では周遊パスが進んでいて、私も先行事例調査としてヒアリングに行ったことがあるが、あまりにも各社が積極的にパスを発行しているので、特に外国人観光客にとっては、果たしてどれが関西を周遊するのに便利なチケットなのかということが判断しにくくなっている。また、LCCは関西エリアの最大の強みであり、関空が先んじて積極的に誘致に進んでいるが、LCCターミナルにある観光案内所にあるパンフレットは、大阪のパンフレットと、鉄道網のパンフレットだけであった。

 関西の2府6県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、徳島県、鳥取県)の宿泊客のデータをまとめると、この地域全体で、日本全体の23.5%、約4分の1の方が来ているという結果になっている。国別の比率は、日本全体とほぼ同様で、関西独自の地域特性はそれほどない。ただ、府県別に見ると、宿泊のキャパシティのこともあり、宿泊客の半分以上が大阪府、3分の1が京都府で、圧倒的に大阪、京都に泊まっているというのが実態である。


●訪日外国人観光客のトレンド・見通し
 私なりの推察で、訪日外国人旅行客のトレンド・見通しを大きく5つにまとめた。1番目は、ますます加速化するFIT化(個人旅行化)ということ。ここ数年、特に台湾などでは、2~3年前までは半々だった団体と個人客の比率が、今は6:4から7:3ぐらいになるぐらいの勢いで、個人客が増加している。要因としては、特に東アジアの人たちの間で、ショッピングがしたい、こんなものが食べたい、テーマパークへ行きたい、文化体験がしたいなど、個人の嗜好が多様化していることが挙げられる。そのような中では、団体旅行で行っても自分が満足できる旅行ができないためであろう。また、特に中国で、粗悪な内容のツアーが横行していたため、個人で行ったほうがいいという判断がされているということもあるのではないか。

 2番目の大きなトレンドは、東アジアと東南アジアの安定的な伸びである。中国は政情によって変化することがあるが、特に台湾、香港あたりでは日本旅行の人気が高く、満足度の高さが評価されているのではないか。また、沖縄や東北への数次ビザの発行など、中国へのビザ対応の効果があったり、中国政府が個人旅行をしやすくなるような環境を整備したりしているので、中国の方たちが日本へ来やすくなる環境が整ってきたというのも大きな影響である。東南アジアは、ビザが緩和され、また景気が非常に良いことから、非常に伸びている。

 3番目は、さらに拡大するマーケットということで、国のプロモーション戦略の中でも、今後、ベトナム、フィリピン、インド、ロシアが注目されている。これらの国々の人が日本まで来るようになると、パイとしては非常に大きいため、2,000万人というのも夢ではない。中部地方の高山市では、既にベトナム、フィリピンでセールスプロモーションを始めている。

 4番目は、訪日旅行リピーターの増加による訪問先の拡散ということで、リピーターの増加によって、2回、3回、4回来る人たちが、今度は日本のどこへ行こうと、次の行き先を常に探している。関西は今、特に台湾で大ブームが起こっており、2回目、3回目で関西に行こうという人たちがどんどん来ているが、それが一巡すると、新たな行先を模索しはじめるだろう。特に、北陸新幹線が来年3月に開業し、東京-金沢間が結ばれ、もしジャパンレールパスが北陸新幹線でも利用できるようになると、かなりの人が新幹線を使って富山、石川へ行くようになることが予想されるため、東海道ゴールデンルートが変化していくのではないかと見ている。

 5番目は、外国人向けサービスの強化・規制緩和ということで、今年免税が緩和され、登録すれば、外国人が免税で買い物できるようになった。また、Wi-Fi環境の整備についても、国策としてどこまでできるかはわからないが、外国人の不満の第1位としてずっと挙がっていた。ただ、Wi-Fiがあるから日本に来るというわけではないので、プラスアルファのおもてなしの部分だと考えればよい。

 今後レジャーマーケットが変化する中での関西にとってのプラス要素は、2016年に関空の新LCCターミナルができることである。また、施設では、今年はUSJの新しいアトラクションやあべのハルカスなどができ、今後は京都鉄道博物館やエキスポランドの跡地の計画もある。舞鶴自動車道も、外国人観光客に全く関係がないわけではなく、新しいルートの開発という意味では、神戸から北上して天の橋立や福井までのルートができるため、実はプラスになる。逆に、脅威となるのは、北陸新幹線の来年春の東京-富山・金沢の開通、また、来年の3月にできる成田空港のLCCターミナルである。また、東京オリンピックに合わせて、横浜にいわゆるIR(統合型リゾート)ができる構想が挙がっている。これは京浜急行電鉄が構想を持っており、カジノ法案が通れば動くことを先んじて宣言しており、これが横浜に先にできてくると、大都市観光的な魅力として横浜に行く人が増えるであろう。また、北海道新幹線が、2016年の春に函館までつながるため、北陸新幹線と同様、現状飛行機で東京と北海道を観光している外国人が、新幹線で函館まで行って、そこからバスで北海道を回るということが起こり得る。

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