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ニーズとシーズのマッチングには大きく4つ(上の図を参照)ある。いちばんハードルが低いのはAで、経済産業省の課題解決型の事業がこれに一番近いのではないか。3年ぐらいで事業化に到達できるような課題が多くある。しかしながら、将来世界に発信できるような独自の産業力にするには、徐々に目標を高くしていくことが必要である。 |
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●競争力の強化とは、新しいアイデア、コンセプトを生み出すこと
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非常にイノベーティブなデバイスを、日本のものづくりの力で医療の現場にたくさん使ってもらえるようなものにすることが、最終的なイノベーションの経路かと思っており、そのためには人材育成が常に必要である。
結局、競争力の強化に必要なものは「アイデア」である。受注的な発想はやめて、とにかく医師と徹底的に議論する中でブレーン・ストーミングをして、コンセプトを見いだすことが重要である。
私自身が感銘を受けた事例をご紹介する。エムネクスト社(http://www2.bbweb-arena.com/mnext/mnext200903_007.htm) という、小さなバーコードを刻む加工技術を持っている企業の事例である。医療とは一見関係なさそうに見えるが、この企業が阪大病院の医師と協力して、全てのデバイスにバーコードを入れた。そうすると、使用履歴が全部わかるようになる。1回の手術には100~200個のデバイスが必要だが、その管理が一挙にできるようになる。これは本当に新しいアイデアである。
当初、日本の医療機関は、「使い捨ての時代だから、バーコードなんてありえない」と言い、あまりこれに興味を持たなかったそうだ。しかしフランスで受け入れられると、日本の医療機関もこのアイデアを見直し、徐々に導入が進んでいると聞いている。
また、フォガティ先生のベンチャー育成の一つに、ハートフロー社がある。冠状動脈が詰まると狭心症や心筋梗塞になるが、意外とスタンダードな治療法が決まっておらず、どう治療するか循環器の医師も結構悩むそうだ。この事例は、患者の冠状動脈と大動脈をMRIやCTの画像から三次元で立体に構築して、それを使って流体力学的なシミュレーションをするものであり、流れが全部計算でわかるため、循環器の医師は、治療方針を判断しやすくなる。
そのほか、まだ完成されていないが、グルコース(血糖値)を検査するために、コンタクトレンズの中にセンサーを入れ、涙の中の血糖値を測定する機器がある。そうすれば、毎回血を出して測定する必要がなくなる。あるいは、今のスマートフォンのように、指輪に様々な機能を付加して、患者が指輪をしておけば、全てわかるという時代が来るかもしれない。そのようなことを夢見ながら、活動している。
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