一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構

徳島・万代中央ふ頭「物流機能」から「にぎわい空間」へ倉庫街を活かした水辺のまちづくり計画

取材協力：徳島県県土整備部運輸局運輸政策課港湾空港経営室

徳島・万代中央ふ頭は、徳島県庁から歩いて５分。西には眉山（びざん）、東には末広大橋を望む新町川河口にあり、かつて徳島を代表する海上交通の拠点として栄えた。しかし、川底が浅いために大型化する船舶が入港できず、時代と共に港湾としての機能を失っていった。現在、物流拠点からの転換を図り、美しい水辺のロケーションを活かしたまちづくりの機運が高まっている。

●港として栄えた「万代中央ふ頭」

万代中央ふ頭は、徳島市中心部を流れる新町川河口にあり1960年頃から海上交通の拠点として栄えた。港には人や貨物が行き交い、東西約500メートルに19の倉庫が並ぶ倉庫街は活気に満ちていた。
しかし、水深が４、５メートルと浅く、大型化する船舶を受け入れられないという理由から、物流機能は万代より河口の末広や人口島の沖洲へと移っていく。
1970年には43万トンあった貨物量は、1999年からゼロになり、かつて栄えた港町もその面影を残す倉庫街だけが今もその名残をとどめている。物流機能を失った港は、徳島市中心部の水辺という好立地にありながら、人通りが少なくなった。

〈昔の万代中央ふ頭〉

1960年頃から徳島を代表する物流拠点の港として栄える。

●万代中央ふ頭にぎわいづくり構想

このような背景をもとに、物流拠点としてのかつての港から、貨物を保管する倉庫以外の目的で使うことはできないか？をきっかけに立ち上がったのが「万代中央ふ頭にぎわいづくり構想」。万代中央ふ頭は、市内の中心部に近く、ひょうたん島の回廊整備の延長線上にあり、四国で最大規模の倉庫街である。これらのポテンシャルを活かし「にぎわい空間の創出」を図ることで地域活性化や観光振興をめざす構想である。当事業は、徳島県の行動計画（平成23年～26年）を見据えながら、平成24年から約10年計画でスタートした。特徴は、行政主体ではなく、活動領域を一般に拡げ、NPO法人や団体などによる民間との連携を図る協働のプロジェクトである。

＜構想のコンセプト＞

物流機能を維持するのではなく、港湾にあるこれまでの倉庫や岸壁等を活用し、機能の転換を図る。
貴重な水際空間を生かした、人が集まるコミュニケーションの場として利用する。
少子高齢化の影響や徳島県人口の減少なども考慮し、県外や海外からの観光客の誘致を図る。

倉庫からSOCOへ
－Space Of COmmunity－
倉庫街をコミュニケーションの拠点として、「地域活性化」「観光振興」を図ることを目的とする。人が集い、交流が生まれる「港にぎわい空間」の創出。

◎ 万代中央ふ頭にぎわいづくりの構想実現のため、平成23年2月28日に「万代中央ふ頭にぎわいづくり協議会」が設立。メンバーは倉庫所有者と利用者、徳島県で構成される。

・構想の対象範囲

万代中央ふ頭の倉庫群19棟を中心に
岸壁や水域を含むエリアが対象
（写真：黄色の部分）

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