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広報誌『O-BAY』
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E.T.が、やってきた!!
大阪を映像・芸能づくりの「テーマパーク都市」に
 Interview   高田公理さん(武庫川女子大学教授)
高田公理さん◆たかだ まさとし
1944年生まれ。京都大学理学部植物第2学科卒業。シンクタンク研究員、愛知学泉大学教授などを経て、1992年より武庫川女子大学(生活情報学科)教授。専門は観光社会学、比較文明学。著書に『「新しい旅」のはじまり』『自動車と人間の百年史』『酒場の社会学』などがある。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、しばしば東京ディズニーランド(TDL)と比較されます。でも、テーマパークとしてのおもむきは、かなり違いますね。TDLは「ファンタジーに遊ぶ」ことをめざし、他方、USJは「映画づくりの謎に迫る」ことに眼目があります。TDLはアメリカの白人の故郷であるヨーロッパの神話や童話へのノスタルジーに根ざしており、それに対してUSJは、もっと直裁に20世紀のアメリカン・ドリームの象徴である映画そのものをテーマにしていると言えます。
  だからなのか、TDLは圧倒的に女性に人気があり、USJは、オトナの男性も引きつけます。客層が違うわけですから、TDLのある首都圏からも人が来るし、台湾や香港からも、たくさんの訪問客がやって来るでしょう。
250万人都市大阪とUSJ
 USJは、大阪の重要な集客装置になります。ただ、長期的な視点に立つと、いくつかの問題もあります。
  まずテーマパークは、何万人かが、そこにいる時間を過ごす「都市」です。げんに銀行や郵便局、警察や救急隊までもがあり、むろん食事もできます。しかし他方では、キャラクターグッズなどの商品を売る巨大な商業施設なんです。TDLでは、大のオトナが、百貨店でなら売れそうもないミッキーのTシャツや海賊の義手のオモチャを買ったりします。「カリブの海賊たち」のアトラクションの出口に置いてあるから、思わず買ってしまうわけです。
  USJも同様でしょう。しかし、訪問客が行き帰りの道すがら、大阪の街に、お金を落としてくれるのか、あとは新幹線に乗って帰ってしまうのなら、大阪の街にとっての経済的メリットは、それほど大きくはなりません。
JRゆめ咲線 そこで、ディズニーランドとユニバーサル・スタジオが両方あるロサンジェルスとフロリダのオーランドについて考えてみましょう。ロスは、映画の都ハリウッドをひかえた巨大産業都市です。かりにテーマパークがなくても食べていけます。他方オーランドは、人口10万の小都市です。この規模なら、複数のテーマパークだけで食べていけます。同様に世界的な大都市の東京も、TDLがなくても困らない、それは、東京のアトラクションのひとつに過ぎません。
 ところが大阪は、平成不況のあおりで、都市そのものの産業や経済がシンドイことになっています。都市圏の人口減少も深刻です。だからこそ、交流人口に期待をかけてUSJを誘致しました。しかし、本当にそれだけで活力が戻りますか。大阪は人口250万の大都市です。オーランドとは違います。USJによる集客だけでは食べていけません。
「ものづくり産業」としての映画
 では、どうすればUSJが、大阪に活気を呼ぶ起爆剤になるのか。その答は、大阪そのものが「テーマパーク都市になる」ことです。それは「テーマパークのある都市」ではありません。そうではなくて、都市自体が、一定のテーマと人を楽しませる力を持つのです。そのテーマは、大阪の場合、芸能や映像など、いうところの「コンテンツづくり」でしょう。
  もともと大阪を中心とする関西は、日本の芸能が育った場所です。マンガなどの楽しみも、たとえば手塚治虫のように、関西に芽ぶいたものがたくさんあります。最近も、監督デビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭の新人監督賞を受賞した河瀬直美が出ています。しかし大阪では、やっていけないので、みな東京に流出してしまうんです。
 すべては大阪が「狭義のものづくり」だけに頼って「文化」をないがしろにしてきた結果です。「文化は金食い虫だ」と言ってね。だけど、これは間違いです。げんにアメリカ映画の輸出額は、航空機に匹敵します。だから彼らはインターネットの普及に熱心なんです。だって、すでにCS放送が、20世紀のハリウッド映画を「もう一度売るメディア」になっています。今後インターネットの情報搬送容量が増大すれば、巨大なサーバーを置くだけで、すでに減価償却の済んだストック、つまり制作済みの映画が世界中に売れ、アメリカに莫大な富をもたらします。
  むろん映画は、工業製品ではありません。だけど、広い意味では「映画づくり」も立派な「ものづくり」です。優れたものができれば、巨大な富をもたらすことができるんです。
船
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