端:現代の祭りというのは、日本の伝統的な信仰にささえられた祭りと、その一方で、現代都市としてのアイデンティティとか、いろいろな問題を含みながら、祭りともイベントとも言える試みがありますね。
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橋爪:そうですね。祭りとイベントの中間あたりで、いわば「祭りイベント」のようなものが、最近非常に盛んになってきています。かつてあった祭りを現代的に復活させるとか、また違った意味づけをするとか、そういう試みも面白いのではないでしょうか。
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米山:かつてあった祭りと言えば、西宮神社の戎さんが今年本格的に船渡御をします。昔の絵巻に、船渡御の様子が描かれていたそうで、これまでは御神輿の渡御は行っていたのですが、今年は船渡御も復活させることになったそうです。それと同時に西宮市が祭りの協議会のようなものをつくって、今まであったその地域の祭りを統合するようですね。
橋爪:神社の氏子だけではなく、市民も一緒に参加するような祭りになるのでしょうか。
米山:ええ。みんなでひとつになるといった意味で、計画されているそうです。
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端:今はだいたい陸渡御だけですからね。船渡御を復活させるのは、いい案だと思います。これからは、もっとウォーターフロントに注目してもいいのではないでしょうか。
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米山:水ということを考えると、やはり天神祭が浮かびますね。
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橋爪:昔は松島まで船を出していました。天神祭も信仰の対象なのですが、イベント的な要素もあると思えば、船を海まで出すのも面白いかもしれません。
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米山:一度西宮のヨットハーバーから天保山までヨットに乗せてもらったのですが、やはり海から見る眺めは、値打ちがありますよ。
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橋爪:そういえば、船に乗って見ることが一番の特等席だという祭りが、大阪湾にはありませんね。
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端:ほとんどが陸上での祭りですよね。都市自身が内陸に移ってくるのはやむをえないのですが、どんどん生活の構造が陸上型になって、随分海が遠くなっている。海が特別なものになるのではなくて、生活リズムにおさまるようにならないと。今は舞洲とか夢洲とか、大阪がどんどん海へ向かっていますから、少しずつ海というものが大きなテーマとして戻ってくれると嬉しいですね。
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