長岡 |
12月になると、神戸は電飾で彩られますね。もともと震災からの復興のシンボルとして「ルミナリエ」は始まったのですが、わずか5年で多くの人に知られ、たくさんの人が訪れるものになりました。私はこれに芸術性といいますか、きちんとしたコンセプトを感じるのです。それなればこそ、人の心を打つのではありませんか。
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安井 |
そうですね。受け入れた神戸はえらいと思いますし、今年など、身障者の方々を一般公開の前日に招待しましたでしょう。健常者と一緒の日では大変だろうといって。そういう心遣いがあるのもうれしいことですね。
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嶋本 |
費用もずいぶんかかるはずです。見るだけでも大変ですから、作る人はもっと大変でしょう。ただ、費用がかかりすぎて、続かないのではないか、という噂も聞きましたが。
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長岡 |
だんだん協賛が増えていると聞いていますよ。実行本部もできていますし。
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嶋本 |
続けることに大きな意義があると思いますよ。せっかくここまで評判になっていることですから。
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安井 |
切手にもなりましたね。
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長岡 |
ふるさと切手の中の一つになっています。神戸にとって、年間を通じても大きなイベントですから。だんだん遠くから来る人も増えています。岡山や広島からも来られますよ。
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嶋本 |
ただディレクターが外国の人ですね。私としては日本人の芸術家を採用してもらえたらと思います。
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安井 |
ああいったイルミネーションはわかりやすいものですし、きれいだし、誰でも見ただけで理解できるものですから、こだわらなくてもいいのではありませんか。
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嶋本 |
それはそうですが。でもねぇ、なんとなく(笑)。
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安井 |
光の芸術ということでは、明石大橋の照明は日本人のはずですね。
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長岡 |
石井先生でしょう。あの方は国際的に知られた照明デザイナーです。
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安井 |
ほら、日本人もがんばっているではありませんか(笑)。
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嶋本 |
まぁ、もっと増えて欲しいということで(笑)。光の不思議さでは、私はスイスのルガーノという町で見た、湖のまん中に建っている建物を思い出します。凹凸のあるもので、陰から光を当てて実に不思議な、だまし絵のような感じで。言葉で説明するのは難しいですけれど。
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安井 |
視覚の不思議さですね。水の上というのもいいですね。
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長岡 |
水と光はとてもよくマッチするようです。私の仕事は水の上ですから、いつもそう感じています。
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安井 |
また神戸という町が美術的でしょう。何か世界に広がる要素を持っているように思います。ルミナリエなども受け入れますし。
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嶋本 |
ただ洋風ですね。ある落語家が「神戸では落語をさせてもらえないから嫌いだ」と言っています(笑)。確かに大阪とは全然違う町です。クラシック音楽のイメージがありますね神戸には。高尚と言ってもいいかも知れません。
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安井 |
だから女の子の憧れの町になれるのでしょうね。何となく憎たらしい感じもしますけれど(笑)。
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