一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構
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広報誌『O-BAY』
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特集 「知の集積」により変貌を遂げる臨海部~神戸市・ポートアイランド~
 かつて我が国の港湾物流の一大基地であった、ポートアイランド(1期)西側のコンテナバース跡地。歴史的使命を果たした都心の一等地が、大学の集積などにより「海上新都心」に生まれ変わろうとしている。今回は、神戸市みなと総局技術部・水間収三部長と、当地に新キャンパスを開設する神戸学院大学の眞弓忠範学長に、現況や今後の展望などをお聞きした。

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◆水間 収三 みずま しゅうそう
神戸市みなと総局 技術部長


かつての港湾物流基地を「海上新都心」に

  昭和40年代、世界の港湾物流はコンテナ輸送による大革命の時代を迎えていました。神戸港ではこのような世界の趨勢に対応するため、昭和42年、日本初のコンテナバースを摩耶埠頭に建設したのを皮切りに、建設中のポートアイランド(1期)にコンテナバース群を整備し、以来、ポートアイランドは神戸の海の玄関口として港湾物流を支えてきました。しかし近年では、当時建設したコンテナバースの水深が船舶の大型化に対応できなくなり、その機能を六甲アイランドやポートアイランド2期に移したため、ポートアイランド1期西側のコンテナバース跡地(背後地を含め約72ha)をどのように再開発するかが課題となっていました。
  神戸市では平成14年3月、学識者や港湾関係者などでつくる「神戸港21世紀懇談会」での提言をとりまとめ、港の活性化に向けた報告書を発表しました。報告書では、当該エリアを市民が水辺に触れる「親水ゾーン」と位置づけ、都市機能を含めた水と緑豊かな多様な空間として再開発する活性化策を打ち出しました。
  この「神戸海上新都心構想」に続き、同年10月には当該エリアが都市再生特別措置法に基づく「都市再生緊急整備地域」に指定され、民間活力による賑わいのあるウォーターフロントづくりが加速されることとなりました。
  当地は、まとまった土地が確保できることに加え、海の玄関口であり空の玄関口(神戸空港)にも近く、新交通システムなどのアクセスにより市内中心地に直結するなど利便性に優れています。また、同じくポートアイランドで整備が進められている神戸医療産業都市(※)との連携による事業展開などの相乗効果が期待できるとともに、六甲山を借景とし海が目前に広がるなど、景観面でも高い評価を得ています。
  こうしたメリットをセールスポイントとして、民間事業者の募集等に向けた説明会、意見交換会を数回にわたり開催した結果、まずコンテナバース跡地南側に、家具、中古車などの企業の進出が決まり、続いて北側に複数の大学の進出が決定しました。

(※)神戸医療産業都市構想
高齢化や医学の進歩により、 21世紀に大きな成長が見込まれる医療関連産業の振興を図る計画。ポートアイランド2期を中心に、最先端の医療技術の研究開発の場を整備し、国内外の医療関連企業を集積、新しいビジネスが生み出される環境づくりをめざす。

「知の集積」が進む-
学園都市と神戸医療産業都市


  約14.2haの敷地には、神戸学院大学の法・経済・経営・薬学部が、現在の有瀬キャンパスから移転します。開校予定は平成19年4月で、学生数は約4,000人を予定しています。また隣接する敷地約7.5haには、同じく平成19年4月に、兵庫医療大学(仮称)と神戸夙川学院大学(仮称)が新設開校予定で、予定学生数は合わせて約2,500人です。兵庫医療大学は薬学部、看護学部、リハビリテーション学部を、神戸夙川学院大学は観光文化学部を設置する予定です。なお、北側敷地には、学生マンションや自動車教習所も立地することとなっています。
  また、これらの大学群からほど近い距離にある神戸女子短期大学の敷地には、本年4月、神戸女子大学が健康福祉学部を新たに開設するとともに、神戸市立看護短期大学の跡地には、看護師の再教育などを行う順心会看護医療大学附属看護診断研究センターが設置されています。このように、ポートアイランドに一大学園都市が形成されようとしています。
  同じく臨海部の六甲アイランドには、平成14年に神戸国際大学が移転していますが、学生の方からは「神戸の海と山が間近にある環境が素晴らしい」という感想をお聞きしています。今回、多くの大学が当地を選んでいただいた理由の1つとして、このような神戸臨海部ならではのロケーションの良さや通学の利便性のほか、前述したメリットが大いに評価されたと考えていますが、特に神戸医療産業都市の存在が大きいと感じます。進出の決まった大学は医療関係の学部が多く、神戸医療産業都市の企業や医療・研究機関等との様々な形での連携をお考えになっていると思います。このような連携が進むことにより、各主体間で相乗効果が発生し、まち全体が知の集積地として発展していくものと期待しています。神戸市としても、各大学と連携を密に図っていきたいと考えています。

「開かれた大学」づくりを進め地域を活性化


  ポートアイランドの居住人口はピーク時には約1万7千人でしたが、時代の変化とともに、経済・産業面だけでなくまちとしての空洞化も進んでしまい、現在では約1万5千人になっています。しかしこれからは、大学の集積や医療産業都市等への企業の進出により、居住人口や昼間人口の増加が期待できます。同時に、高齢化の進んだ地域が、学生の居住等によって若返ることにもつながります。
  こうした中で地域の活性化への歩みを確かなものにしていくためには、行政、進出大学・企業等、地域住民の皆さんが連携して、まちづくりを一体的に進めていかなければなりません。そのために何ができるか、意見交換を繰り返していますが、大学に関して言えば、我々は「地域に開かれた大学」づくりが重要であると考えています。
  大学の方でもこの課題には積極的に取り組んでいます。一例を挙げれば、神戸学院大学は、既に過去3回ほど、地域の方とともに色々なイベントに参加しています。また、兵庫医療大学、神戸夙川学院大学につきましても、地域住民が主催する恒例の「たそがれコンサート」に、神戸学院大学と共に管弦楽演奏で参加しました。
  神戸学院大学の新キャンパスは、生涯教育機能などを充実させるとともに、非常に緑が多く、キャンパスを囲む柵や塀が一切ない、文字通り地域に開かれたものになる予定です。地域住民との交流の場として大いに活用されるのではないでしょうか。同大学ではキャンパス前面の岸壁に客船を着岸できるような計画も進めています。
  また、ポートアイランドでは大型商業施設などの集客施設が次々に開業し、賑わいづくりに寄与していますが、「地域に開かれた大学」は、観光・集客面でも大きなプラスになるものと期待を寄せています。
  例えば、ハーバーランドから見たポートアイランドの景観も視野に入れて、夜間照明を大学と共同で行うとか、人々が港湾に親しめるための親水ゾーンを整備するなど、色々な計画が浮上しています。いずれにしても大学と一体的な緑地空間、広場を作っていこうと考えている最中です。
  元々、ポートアイランドには国際会議場や国際展示場に加え複数のホテルもあり、コンベンション機能が充実しています。地域住民にとっては、多目的ホールやスポーツセンターもあり、コミュニティとしてのイベントも開催することが可能です。これらに加えて大学の進出により、学生の居住や地域社会への参画が進み、賑わいが創出されることで、オールドタウン化しつつあるポートアイランドが、再びニュータウンとして再生することになります。
  神戸というまちの魅力、それはやはり、海と空と陸という三つのアクセスの結節点であること。この2月に開港した神戸空港も、進出される企業の皆さんに非常に高く評価していただいています。今後はこのポートアイランドが神戸の「玄関口」として、神戸市全体の街づくりや市民生活、そして社会基盤の整備という点で先導し、またこの玄関口を起点にそれらを発信していきたいな、と思っています。

【関連サイト】
神戸医療産業都市 -神戸市HPより-

学園都市と神戸医療産業都市
 

地域とともに学び、世界にはばたく大学をめざして
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◆眞弓 忠範 まゆみ ただのり
神戸学院大学学長


新キャンパス開設の経緯-

  現在の有瀬キャンパスは道路の渋滞などで学生が通学するのに時間がかかり、また、
キャンパスの拡張も難しいことから、新たな展望が可能となる移転先を検討していました。
平成14年に工場等制限法が廃止され、都心部への大学移転に関する規制が緩和された
ことを好機として、神戸都心部にキャンパスを構築し、教育・研究の両面で地域社会との連
携を深め、大きな成果を得ようと考え移転を決めました。

ポートアイランドに設置することを決めた理由ー

  移転先は、神戸市が神戸海上新都心構想を打ち出し、港の活性化、「産・官・民・学」の
連携によるまちづくりを計画しているエリアであり、本学が参画することで、その役割の一部
を担うことができると考えました。
  また、「知」が重視される21世紀において、市民と一体となった新たな大学像を構築する
視点から都心部への立地を選択しました。神戸の中心部において様々な「知」と交流し、こ
れまでにも増して「神戸の大学」「知の港に位置する大学」として神戸の市民や街とともに発
展し、神戸の市民・企業・街に不可欠なパートナーとしての役割を担うことをめざします。都
心部は、生涯学習などを通して社会に開かれた学びと実践の場としても最適です。
  薬学部の移転については、神戸医療産業都市構想との連携等によるグローバルな人・
モノ・情報の交流が実現できることが大きな魅力でした。また、神戸空港の開港により、地
方との距離が縮まったこともメリットのひとつです。

移転先が「臨海部」であることについてー

  港と山に抱かれた立地は神戸のブランドイメージとして浸透していますが、その中での
ポートアイランド特有のウォーターフロントは癒しとくつろぎの場でもあります。本学は、こ
の地で神戸のイメージをアカデミックに育み発信できる大学となりうると考えています。
キャンパスの設計にあたっては、対岸からの景観にも配慮しています。

新キャンパスのPRポイント-

  少人数制で学生が学びあう「教育支援型キャンパス」、学外の地域の方々等にも学んで
いただくなど交流活動が積極的に行われる「外部交流型キャンパス」、そして景観に配慮し
環境や人にやさしい「アメニティ創造型キャンパス」という、3つの目的をもったキャンパスに
していきたいと考えています。
  従来の大学のイメージは、大学の中だけで理論的な学問を行うというものでしたが、本学
は実践的な学問も大切にします。理論と実践の両方で、学生を「人間力」をもった人材に育
てていきます。

地域社会とのあり方についてー

  今回の新キャンパスの隣には兵庫医療大学、神戸夙川学院大学も同時期に開学される
予定です。近隣も含め100mも離れない場所に多くの大学が集積するという、他に類を見な
い環境ですので、先端をいく連携を組む必要があると思います。
  地域社会との共存については、図書館等施設の開放、生涯学習の場の提供などにより、
市民の方にも一緒に学び学生と交流していただきたいと思っていますし、講演会や学会等
も積極的に開催しようと考えています。
  また、ボランティア活動などを通じた社会貢献、インターンシップ、産学連携、国際交流な
どの外部連携活動を積極的に推進していきます。
  学生は、大学にも教育されるし、地域の方々にも教育される。大学は学生も教育するし、
地域の方々の生涯学習にも貢献したいという思いがあります。「都市共生型キャンパス」の
利点を最大限に活かし、学生にとっても地域社会にとっても、「人間力」を育む、そんな開か
れた新しい型の総合大学をめざします。

新キャンパス完成予想図
(2006年春号)

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